3月25日発売のアエラ増刊「AERAMoney今さら聞けないお金の基本」では、経済評論家の勝間和代さんにインタビュー。新型コロナウイルスで日本全体が守りの境地に入っている今、「お金を守る」という視点で取材した。勝間さんの興味深い話の中から、とっておきの発言を抜粋してお届けする。
【写真】変わった!?ユーチューバーとしても活動する勝間和代さん
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ストレートな疑問をぶつけた。「なぜお金が貯まらないのでしょうか」と。
勝間さんは「お金が貯まらない人は『時間割引率』の高い人です」と即答した。
時間割引率とは行動経済学の用語で、将来もらえる価値をどれだけ小さく見積もるか、ということ。時間割引率が高い人は、今の楽しみだけを考えて大事な未来に目を向けない傾向がある。
「典型的な例は消費者金融と宝くじです。消費者金融は重い金利が将来の負担になるのに『今、現金が必要だから』と借りる。宝くじは『夢を買う』と言いながらお金を出しますが、買った夢は抽選日に高い確率で消えます。お金の貯まらない人は、これと似た行動を無意識にとっているんです」
お金が貯まらない=稼いだ分を全部使ってしまっているということだが、まずは貯金ができる体質になるために、買い物について話してもらおう。よろしくない消費の例として勝間さんが引き合いに出すのが、「総菜のカボチャ」の煮付けである。
「コンビニやスーパーでは小さいカボチャの煮付けが数切れで200~300円。こんな高いものをどうして買うのだろうと(笑)。旬の季節なら、カボチャ4分の1個が150円くらいで買えますよね。家で煮るか蒸すかすれば、総菜カボチャの半額で数倍の量をおいしく食べられるのに……」
スーパーマーケットでの勝間さんの行動には一定の「法則」がある。
「私は、スーパーで売り場中央の棚には行きません」
店舗の配置の仕組みがきちんとわかっている人ならではのわかりやすい視点だ。
「スーパーの壁際には肉や野菜など冷凍・冷蔵、つまり陳列に電源が必要な商品が置かれます。売り場中央部には、同じ食品でも調理工場で作られた製品が置いてあるケースが多いんです。工場で作る食べ物は人件費や印刷・宣伝費、物流費と、ちょっとの原材料費でできています。食べ物を買いに来ているのに、払ったお金の大部分が違うところに使われているのは……」