JR御殿場線、御殿場駅近辺からは富士山が間近に望める  (撮影/写真部・松永卓也)
JR御殿場線、御殿場駅近辺からは富士山が間近に望める  (撮影/写真部・松永卓也)
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 青春18きっぷは、若者だけのものではない。時間もお金も自由になる大人こそ、使い勝手のよい切符なのだ。紀行作家・芦原伸氏が青春18きっぷで行く旅の魅力を紹介する。

【写真特集】大人も楽しめる「青春18きっぷ」で行く、春の遠出

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「青春18きっぷ」利用者の主流は、今やおじさん、おばさんたちである。時間もある、お金もある(たぶん)。新たな人生のスタートに、のんびりと旅をしたい、という中高年層にこのきっぷは人気だ。

 時には“風”の気分になって、足の向くまま、気のむくまま。気分だけは「青春」でよいのだ。

 途中下車できるのがいい。旅の途中の花畑でのスケッチ、海辺の散歩、はたまた渓流沿いにひっそりとした温泉を見つけ、ひと風呂浴びたい時、「18きっぷ」なら途中下車自由だ。旅とは、そうした“発見”なのである。

 大都市までは新幹線や飛行機を使い、そこから「18きっぷ」で、のんびり旅をはじめてもいい。たとえば千歳まで飛行機で飛び、千歳を起点として道央を周遊するという旅もある。

 ローカル線を楽しめるのが「18きっぷ」の魅力だが、お弁当を忘れないこと。無人駅や小駅が多いので駅弁売り場や飲料の自販機は少ない。お腹が減っては、せっかくの旅が楽しめない。また車中で過ごす時間が長いので、文庫本を持参するのもお勧めだ。一番大切なのは、時間から解放されること。駅での待ち時間が1時間、2時間あっても、付近の名もない古寺社を訪ねるくらいの好奇心をもっていただきたい。

週刊朝日  2020年4月3日号