週刊朝日(6月8日号)が掲載した「維新の会参謀 浅田均大阪府議会議長激白150分 橋下徹選挙戦略の全貌」という記事が波紋を呼んでいる。浅田氏本人が「捏造に近い」とツイッターで発言したためだ。週刊朝日編集部はこのように、記事に対する取材経緯を明らかにする。

 インタビューでは、東国原英夫前宮崎県知事、キャスターの辛坊治郎氏、中田宏前横浜市長、山田宏・日本創新党党首らの名前を挙げ、出馬する選挙区など、総選挙へ向けたかなり詳細な話になった。週刊朝日記者は「東国原氏、辛坊氏ら次期総選挙の候補者や、石原都知事、河村名古屋市長との関係が赤裸々に生々しく語られ、大きな反響を呼ぶ可能性がある」と判断し、「事前に原稿を確認していただいたほうがいいのではないか」と提案し、浅田氏のメールアドレスと携帯番号を聞いた。

 そして5月25日午後7時ごろ、本誌記者は一問一答形式にまとめたインタビュー原稿を浅田氏のメールに送信した。午後10時ごろ、

「この原稿がそのまま出たら、僕は政調会長をクビになってしまう」

 と浅田氏から電話があった。深刻な声だった。

 その後、浅田氏よりさまざまな原稿の削除、修正の要請があった。

 多くは許容できる範囲だった。しかし、本誌が看過できなかったのは、東国原氏や辛坊氏ら次期総選挙の"目玉候補者"のほぼすべての記述を「削除してほしい」と伝えてきた点だった。

 原稿確認の目的は「都合のいい発言内容に書き換える」のではなく、「より正確に伝える」ためのものだ。電話で長い時間のやりとりをした結果、浅田氏は東国原氏については最終的に、

「『前回、都知事に出馬しているので、東京かな』ぐらいでお願いします」

 と言い、民主党候補の刺客との噂が出ている辛坊氏についてはこう話したという。

「今、(地方)自治法改正で民主党にいろいろ、お願いしているのでまずい。勘弁してほしい。『辛坊さんに出てもらうとしたら、大阪ですね』という書き方にしてください。これで譲歩します」

 最終的に、記者が「若干の行数調整はさせていただきますが、お直しは反映させます」と連絡すると、同午前3時38分、「有難うございました。浅田」というメールが届いたのだった。

 つまり、この時点では浅田氏は原稿について納得していたはずだ。

※週刊朝日 2012年6月15日号