巨人の菅野智之(C)朝日新聞社
巨人の菅野智之(C)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染が拡大している中、プロ野球は開幕する見通しが立っていない。予定されていた公式戦開幕日は3月20日だったが、4月10日以降に延期に。そして、プロ野球とJリーグが感染拡大に連携して対応する「対策連絡会議」の会合が23日に開かれ、出席した感染症の専門家から、「早期開催は非常に難しい」という提言が出た。早くても4月下旬以降の開幕になりそうだ

 開幕日が当初の想定より大幅にずれ込むことで、公式戦のスケジュールはタイトになる。ある球団首脳は渋い表情を浮かべる。

「雨天中止が続いた場合は、早い時期から10連戦以上が続く可能性がある。選手は肉体的にもかなりハードになる」

 実は、こうした異例の事態がペナントレースに与える影響は小さくない。

 2011年シーズンは、開幕前の3月11日に東日本大震災が発生。当時は全国各地の原子力発電所の運転停止で電力供給の問題が浮上したため、12球団全ての本拠で照明の減灯、ドーム球場では夏の冷房設定温度の引き上げなど節電を実施した。

 さらに、延長戦の規定に「試合開始から3時間30分を超えて九回を超える新しいイニングに入らない」と特別ルールが設けられた。ヤクルトは下馬評は高くなかったが、強力な投手陣を中心に失点を防ぐことに重点を置いたスタイルで夏場まで首位を快走。終盤に息切れして中日に逆転優勝を許したが、引き分けは両リーグ最多の15。「3時間半ルール」を巧みに活用した。

 今年は日程がタイトになるので、投手力がカギとなる。あるスポーツ紙のデスクはこう分析する。

「先発の頭数が少なく、救援陣の層が手薄なチームは苦しくなる。巨人は先発で計算が立つのが菅野智之のみ。新外国人のサンチェスは未知数だし、救援陣も層が薄い。田口麗斗が先発に転向し、昨年67試合登板とリーグ優勝に大きく貢献した中川皓太も状態が上がってきていない」

 「一方、面白い存在が中日です。先発、救援の頭数はそろっているし、打線も他球団に見劣りしないメンバーなのでダークホースになる可能性がある」

 今年のペナントレースは波乱の展開になるかもしれない。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事