東京都の小池百合子都知事らは23日に開いた対策本部の会合で、新型コロナウイルス感染者が急増した場合でも受け入れられるよう、医療体制の方針をまとめた。重症患者の受け入れ先として最大で700床、中等症の患者の受け入れ先として3300床を確保する。
数字の根拠は、厚生労働省が出した予測だという。
「流行ピーク時に700人の重症例が発生するとされるので、その見込みから出した。3300床は、予測される入院患者2万500人のうち、8割の軽症者を除いた4000床から700床を引いたもの」(都保健福祉局担当者)
だが、医療機関に対する現在の受け入れ要請は、ほとんど進んでいない。
というのも、都は民間病院を含め、医療機関に協力を依頼しているものの、現時点では都内の感染症指定医療機関118床に20床ほど加えた140床しか確保できていないのだ。日々、40人以上新たに感染者が出ているというのに、後手に回っている感が否めない。
「医療機関の事情もありまして……」
と担当者の口は重い。
東京都は、2009年の新型インフルエンザ流行のときの対応病院に依頼をしているというが、当時とは事情が違う。
新型インフルでは治療薬があり、入院期間が短かった。だが、新型コロナウイルスの感染症には治療薬がないことに加え、回復しても陰性確認をしなければならず入院期間が長い。くわえて風評被害があるなどの懸念材料がある。
「都はいつまでに4000床を確保するのか示すべきだ」
感染症病床の増床の要望を出した太田哲二杉並区議はこう危機感を募らせる。
そもそも感染症病床は、一般病床とは違う。4000床という数字は現実的なのか。
「ベッド数は確保できるかもしれない。例えば、フロアを丸ごと感染症病床にしてしまえば、他の患者さんに感染するリスクは極めて低い。ですが、感染対策に詳しい医師や看護師をそこに配置できるのか、そちらの方が重大な問題です」