小泉純一郎氏 (撮影/写真部・小黒冴夏)
小泉純一郎氏 (撮影/写真部・小黒冴夏)
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安倍首相 (c)朝日新聞社
安倍首相 (c)朝日新聞社

 世界中を襲ったコロナ“事変”。東京五輪の約1年延期が決まった途端、日本列島で感染者が急増した。“首都封鎖”も始まる中、国会では自殺者が出た「森友」、「桜を見る会」など疑惑追及がやまない。ついに安倍晋三首相の政治の師匠、小泉純一郎氏が最後通告した。

【前編から続く】

*  *  *

──安倍首相は五輪後の来年9月で総裁任期が切れます。二階幹事長らは4選に言及しています。

 任期を延ばそうとはしていないと思う。来年9月に任期満了となれば辞めるんじゃないか。総理は激務だし、これ以上長くやりたいとは思っていないだろう。これからは任期内にできることをやることになるだろう。

──原発ゼロ運動はこれからも続けていかれるご予定ですか?

 もちろん。今はチャンスなんだよ。安倍さんが言えばできるんだから。3.11の原発事故の被害を目の当たりにしながら、いまだに原発にこだわっているのが私には理解できない。事故後の数年は、日本の原発五十数基のうち2基しか稼働していなかった。その間、北海道から九州まで1日も停電がないんだよ。原発に頼らなくてもやっていけると証明されている。

──自然エネルギーへの転換を主張されていますね。

 日本は自然に恵まれているし、太陽光、風力、水力、バイオマスなど、自然エネルギーを拡大して、原発依存から脱却せよ、と。相変わらず経産省は、原発を基幹電源として2030年度の電力量に占める割合を20%から22%にすると言っている。つまり、原発を30基稼働させる。再稼働の流れは続かないと思うけど、推進勢力の考え方がわからないね。

──安倍首相の側近中の側近の今井尚哉総理補佐官は経産省出身で、原発畑が長かった方。安倍首相への影響力は相当強いとも言われています。

 今の官邸は経産省支配だよ。私は原発事故を見て、自分なりに勉強した。経産省らが言っていた「日本の原発は安全・低コスト・クリーンエネルギー」は全部嘘だとわかった。廃炉の40年ルールなんて本当にできるのかどうか。よくぬけぬけと嘘をついて進めているもんだ。経産省は計算違いしているし、安倍さんは洗脳されているな。一昨年、安倍さんに直接、「経産省にだまされるなよ。総理が言えばみんな従うぞ」って言ったら、苦笑して何も答えなかったけど。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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