中山秀紀(なかやま・ひでき)/1973年、北海道生まれ。医学博士。独立行政法人国立病院機構「久里浜医療センター」精神科医長。専門領域は、臨床精神医学、アルコール依存症(撮影/片山菜緒子)
中山秀紀(なかやま・ひでき)/1973年、北海道生まれ。医学博士。独立行政法人国立病院機構「久里浜医療センター」精神科医長。専門領域は、臨床精神医学、アルコール依存症(撮影/片山菜緒子)

 AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。「書店員さんオススメの一冊」では、売り場を預かる各書店の担当者がイチオシの作品を挙げています。

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『スマホ依存から脳を守る』は、国内初のインターネット依存治療専門外来を設立した、久里浜医療センター医が緊急書き下ろしした一冊。気づいたときには重症化しているという「スマホ依存」に警鐘を鳴らす。著者の中山秀紀さんに、同著に込めた思いを聞いた。

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 新型コロナウイルスの感染拡大で始まった一斉休校や週末の外出自粛要請……。外に遊びに行けない子どもたちを家でどう過ごさせたらいいのか。気づけば子どもがスマホやゲームばかりして困っているという保護者も多い。

「簡単に快楽を得られるゲームやスマホは最強の依存物です。使用時間が増えれば、当然依存のリスクは高まります」

 そう話すのは、中山秀紀さん(47)だ。2011年に日本初のインターネット依存治療専門外来を設立した久里浜医療センターで、スマホ依存症患者の診察を行ってきた。

 学校にも行かずにオンラインゲームばかりしている、ゲームのアイテムに数百万円も費やす、スマホがないとどうにも我慢できない、こんな症状が出ていたら、完全なスマホ依存症と言えるという。

「スマホ依存の恐ろしさは、気づいた時には重症化しているところ。予兆は『疲労』や『不眠』ですが、症状はあくまでも脳内で進行するため気づきにくいのです」

 17年度の厚生労働省調査では、ネット依存の恐れがある中高生は約93万人。中山さんの患者も中高生が特に多い。スマホ依存症にならないためには、どうしたらいいのだろうか。

「親が子どもの前でスマホを使用しない、使用時間を決める。依存症のことをしっかりと理解できるようになるのは中学生以上ですから、それまではスマホを持たせないというのも一つの手段です」

 今年4月からは香川県で子どものゲーム時間を「平日60分まで」とする条例が施行された。

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三島恵美子

三島恵美子

ニュース週刊誌「AERA」編集部で編集や記事執筆、書評欄などを担当。書籍の編集も多数経験。

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