ち:みっちゃんといたらボケないよね。彼女、手の込んだうそとかつくんですよ。経験値だけは高いからね。

弘:最近はテレビを見て、「○○さんは××」とか言ってる。みっちゃん、それ外で言っちゃだめだよって話してる(笑)。

ち:ひゃっはっはっは。

──おうち楽しそうです。

ち:めっちゃ楽しいですよ。だから私はダウン症の子どもを見ると、きっと楽しくて、幸せなご家庭なんだろうなって想像してます。

弘:未知子は、突然すっとんきょうなこと言うしね。ただ、自分の考えがしっかりあります。決めたことはやる。それにダウン症の中にもいろんなタイプがいるんです。

ち:みっちゃんはウルトラスーパーライトダウン。超軽いんです。掃除洗濯できるし、漢字だって書けます。

弘:食後には台所まできれいにしてくれますよ。ものすっごく助かりますよ。ご近所に友達もできたしね。

ち:みんな天使みたいな人たちよね。彼女、結構顔が広いから、みっちゃんの人脈に助けられることも多い。私たち、ダウン症の娘を持つ父親とダウン症の姉を持つ妹と、ダウン症の本人で講演会をやりたいと思っているんです。

──3年前に奥様を亡くされました。

弘:未知子がどこまでわかっていたかはわからない。

ち:ただ、あれ言ってたじゃない。「今年は渡瀬恒彦さんが死んだのと、次にお母さんが死んだのが悲しい」って。それちょっと違うでしょって(笑)。渡瀬さん好きだったのは確かだけど。

弘:もっと泣くかな、と思ったけど。

ち:私は、母の病気がわかった時のほうがつらかった。余命3カ月と言われて、本当にどうしようって。でも「死ぬ死ぬ詐欺」じゃないかというぐらい、2年ぐらい生きてくれた。その間に心の準備もできた。いつも元気な母だったから、「いい加減死なせてよ、こんなところに寝たきりじゃ、つまんないのよ」と言ってて。あまり動けなくなって生きるのがつらそうだった。

弘:2015年2月に発症し、17年の8月29日に亡くなった。口癖のように「後期発見、早期ご他界」と言っていて病院にも行かない人だった。

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