9日にもやはり、チーフプロデューサーにLINEで、「階段を上がるだけで息が上がってしまう」「体温は平熱で倦怠感や味覚嗅覚の異常等もなく、どう判断してよいものか。きょうの放送を乗り越えれば休むことができる」とメッセージを送っていた。放送中は息切れの症状があり、放送終了後、チーフプロデューサーとともに、番組担当部長に相談したという。

 富川アナは同番組にこうコメントを寄せていた。

「番組で繰り返し感染予防を呼びかけていた立場にもかかわらず、このような事態を招き、視聴者の皆様、関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。すぐに平熱になったことから、発熱を軽視してしまい、上司や会社に的確に報告せず、出演を続けたことを深く反省しています」

 同日、富川アナがLINEを入れたチーフプロデューサーと番組スタッフも、新型コロナウィルスに感染していると確認された。テレ朝は17~19日の3日間、生放送のスタッフの出入りを除き、本社の全フロアを封鎖して消毒作業を行うことを決めた。

 こうした経緯から、「連日、新型コロナに警戒を呼びかける報道をしていながら、体調変化を感じた時になぜ、すぐに受診せず番組出演を続けたのか」という批判がネット上などで巻き起こった。前出のテレビ朝日関係者は、現在入院中だという富川氏についてこう語る。

「富川さんは、自分のせいでご迷惑をおかけしたと、すごく落ち込んでいるらしいよ。責任感の強い人ですからね。局内では感染経路の確認も行われています。富川さんはラーメンが大好きで、毎週のように木曜の夜にスタッフらと打ち上げを兼ねて『麺会』を開いていました。それじゃないかという噂も出ていますが、さすがにコロナ問題が起きてからも行っていたかどうかはわかりませんが……」

 富川アナは報ステで政局や事件の現場を走りまわるリポーターだったが、2016年、フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏の後任として、報ステのメインキャスターに抜擢された。報ステでは報道に情熱を燃やしていたという。前出の中堅社員はこう話す。

「富川さん一人をワルモノにするのはおかしい。そもそも、会社の危機管理が甘かった。アナウンサーへのマスクの配布も十分とは言えず、マスクをつけていないアナもいたし、会社の出入り口の数も多く、チェックが弱かった。送迎のタクシーのドライバーもマスクをしていないこともあった。そもそも、富川さんの陽性の公表にしてもマスコミ報道を受けてからで、対応が遅れた」 

 報ステのスタッフ20数名は全員自宅待機となった。同番組は富川アナらの代役として、金曜担当の小木逸平アナ(45)とリポーターの森葉子アナ(33)らを立て、他番組のスタッフを集めて番組を継続させている。前出のテレビ朝日関係者はこう語る。

「局の社員やスタッフの多くから、このまま代役を立てて続けても不信感を増すだけなので、早く番組休止にした方がいいのではないかという意見が出ています。富川さんや他のスタッフが健康の回復を待って復帰させ、本人の口から体調不良にもかかわらず、番組に出演し続けた経緯の説明と謝罪をしてもらう。それから、再スタートを切ればいいと思います」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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