古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など
古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など
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新型コロナウイルス感染症対策本部に出席する安倍晋三首相ら(C) 朝日新聞社
新型コロナウイルス感染症対策本部に出席する安倍晋三首相ら(C) 朝日新聞社

 新型コロナウイルスによる経済への影響は大恐慌以来の深刻なものになると言われるが、日本政府の対策は規模もスピードも全く不十分だ。その原因は、前号でも指摘したとおり、安倍政権が対策立案を官僚に丸投げしているからだ。

【写真】布マスク姿の安倍晋三首相

 しかし、よく考えると、官僚は諸外国の制度をパクる能力には長けている。コロナ対策で日本のはるか上を行く先進諸国の政策を参考にすれば、創造力に欠けた彼らでもまともな政策を立案できるはずだ。

 その際、重要なのは「法律」「予算」「役所の縦割り」の制約にとらわれないことだ。そこは政治家の出番だが、安倍政権の無能な政治家には任が重い。

 そこで、提案だ。

 与野党から選りすぐりの精鋭を数人ずつ集め、そこに関係省庁の有能な中堅若手官僚20人程度を加えて緊急対策チームを作る。数日間缶詰めになって、支援策を法律案と予算案を含めて立案し、直ちに国会に提出する。同時に、現場では支援策実施の準備に入る。与野党共同作業なら国会審議は1週間もあれば十分だ。

 支援策として今一番求められているのが、コロナによる収入減少への対応だ。しかし、「十分な」支援を「迅速に」与えようとすれば、不正が懸念され、また、不必要な規模の金額を給付すれば、過度な財政負担も懸念される。一方、それを避けるには煩雑な手間がかかり、時間もかかるうえに額が過少になる恐れがある。

 そこで、このジレンマの解消策として、「融資と給付のハイブリッド支援策」を考えてみた。

 中小企業、個人事業主やフリーランスで仕事をしている人たちに、昨年の売り上げを上限に、緊急事態宣言が出ている期間に応じて無利子無担保の融資を申請から数日以内に行う。返済は1年後まで猶予だ。「融資では返さなければならない」という批判はもっともだが、とりあえず、1年は生き延びられるはずだ。

 そのうえで、返済までに本格審査を行い、緊急事態宣言期間中の家賃、光熱費、従業員の給与、廃棄を強いられた原材料費などの費用については、実際に支出したことを確認したうえで、返済不要とする。つまり、その部分は、融資から給付に切り替わる。ハイブリッドというのはそういう意味だ。さらに、経営者の生活費の一部を返済免除としてもいいだろう。残りは融資として長期の返済計画を立てて返済してもらう。

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富裕層に資産課税や所得増税を課すことも