2007年に放送され話題を呼んだドラマ「ハケンの品格」が今春、復活する。非正規雇用の問題が深刻化する現代、抜群のスキルと数々の資格を武器に不条理と闘う「スーパーハケン」大前春子が痛快な姿を見せてくれる。AERA 2020年4月27日号掲載の、脚本家・中園ミホさん、主演・篠原涼子さんの対談記事を紹介する。
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人気ドラマ「ハケンの品格」が復活する。脚本家の中園ミホ(60)と、主演の篠原涼子(46)は、13年ぶりの再タッグとは思えぬほど、息ぴったりだ。
中園ミホ(以下、中園):お変わりないですねえ! 13年前の衣装をそのまま着られるって、さすが。
篠原涼子(以下、篠原):またこれを着て、大前春子ができるのがうれしいです。私、大前春子は基本的にサイボーグだと思っていて。強さや、奥にある優しさのようなものを含めて、変わらないほうがいいのかな? と。だから衣装も髪形も変えず、なるべくしわも見えないように(笑)。
中園:あれだけの資格を取るには100年かかるから「大前春子100歳説」もあった。
篠原:でもスーパーマンだけど本当は不器用で。そんなところにすごく愛情を持てるんです。
中園:篠原さんが演じてくれることで大前春子はロボットじゃなくて「有機体」になるんです。キツいことを言っても、慈愛がにじみ出るような。13年前にこれを書いたとき、派遣の方にたくさん取材をしたんです。一緒にお酒を飲むだけなんですけど、そのときのメンバーといまも定期的に飲み会をしていて。彼女たちからも「続編を!」って言われ続けていたんです。
篠原:嬉しい! 自信になります。
中園:世の中は13年前よりさらに厳しくなっている。今、新型コロナウイルスによる活動自粛が叫ばれていますが、こうした状況で一番に打撃を受けるのは彼女たちですからね。この数年は、飲み会のメンバーに男性も入ってきているんです。
篠原:非正規雇用が増え続けているんですね。
中園:今年4月から「同一労働同一賃金」が始まりましたが、当然、非正規雇用者は待遇の改善を期待しますよね。でも現実はなかなか。年齢が上がって親の介護問題も深刻です。