俳優、声優、映画監督、ミュージシャンとして多彩に活動するのんさんがAERAに登場。仕事は「優劣なく全部好き」という彼女が、活動にかける想いを語った。AERA 2020年5月18日号から。
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ガールズバンドを率い、フロントで赤いテレキャスターをかき鳴らしながら、ストレートなロックを歌う。そんなのん(26)を見ていると、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で演じたヒロイン・天野アキが成長したら、ローカルアイドルではなくロックバンドをやっていたのかも、という錯覚に陥る。
中学時代にガールズバンドを結成していただけあって、ギターを構える姿が堂に入っている。憧れのギタリストはRCサクセションのギタリスト、CHABOこと仲井戸麗市だ。
「CHABOさんのライブ、最高です。あおりも含めて、ギターと一体となって歌って、本当にかっこよくて憧れます」
中2でモデルとしてデビューした後、俳優の道へ。「あまちゃん」でブレークすると、2016年からは「のん」名義で「創作あーちすと」としての活動を開始した。同年、監督に熱望されて劇場アニメーション映画「この世界の片隅に」で主人公・北條すずの声を演じると、3年以上となる異例のロングラン上映となる。本人は飄々(ひょうひょう)として見えるが、この人のいるところ、いつも新しい社会現象が起こる。
のんには、「わたしは部屋充」という曲がある。周りの声に惑わされず、ひとりだからできること、自分だからできることを見つけようと歌う。
「わたしは、部屋の中では絵を描いたり音楽作ったり洋服作ったり、寝たりしています。創作していることが多いです」
外出自粛が求められるいま、新たな意味をまとって聞こえるこの曲に絡めて、TwitterとYouTubeで「#みんなの部屋充」という企画を始めた。音楽だからこそ、伝えられることがある。(朝日新聞出版・小柳暁子)
※AERA 2020年5月18日号