うちは本部役員をやると、卒業までほかの役が免除になる仕組みです。みんなそれで立候補するんです。1年目はたまたま大人なメンバーが多くて平和だったんですが、2~3年目はカラーが変わって、山あり谷ありでした(笑)。

──PTAを悪者にするのでもなく、褒めたたえるわけでもなく、絶妙な描き方ですね。

 最初は「地獄のPTA」みたいな、もうちょっと攻撃的な内容だったんです(笑)。でも、担当編集さんはお子さんがこれから小学校に入る人で、「こんなに恐ろしく描かれると暗い気持ちになってしまう」と言われて、少し和らげました。

 実際PTAって、噂に聞くほど怖いわけでもないじゃないですか。私も本部役員をやっていたので「あんなことを3年もやるなんて、とんでもなく恐ろしい人」と思われていますが、そんなことはないですし。

──全体にやんわりと描かれているんだけれど、読み進めるうちにPTAへのモヤモヤがどんどん膨らんでいきます……。

 まさにそれが狙いです(笑)。やっぱり今のシステムはよくないと思うので、「関わっているみんなでどうしたらいいか考えましょうよ」という思いが伝わるといいなと思いました。

 私は、できるならPTAは改革したほうがいいと思います。ただ、実際はなかなかできないですよね。会長さんや校長先生の考えにもよるので、その辺りを見極めながらかなと。

 あとは、やると決めたなら楽しんでということも伝えたいです。くじにあたって一年中ぶつぶつ文句を言い続ける人もいますが、それは本人も周りもつらいので。もし面倒だと思うなら、どうしてそう思うのか、PTAとは何なのか、ということを考えるきっかけにしてもらえたらいいなと思いました。

──この春は、新型コロナウイルスの影響で、クラス役員決めを延期したPTAも多いようです。

 うちの辺りも大型連休明けまで休校が続くので、役員決めも延期になりました。私はまさに役員決めの担当なので、これが終わらないと役員を終われません(苦笑)。子どもはもう卒業しているので、早く落ち着いてほしいです。

(ライター・大塚玲子)

AERA 2020年5月18日号より抜粋

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