illustration 土井ラブ平
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 進化し続ける食パン界。「高級食パンブーム」も衰えぬ中、新型コロナウイルスの影響で通販を開始した10店舗の食パンを実食した。AERA2020年5月18日号の記事を紹介する。

【「高級食パン」10店舗をフォトギャラリーでご紹介!】

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 盛り上がりを見せる高級食パンの世界にも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は容赦なく襲いかかっている。客同士の密接を招きやすい行列店が多いだけに、入店人数を制限したり、営業時間を短縮したりする店も少なくない。

 これまで行列に並ばないと入手しづらかった有名店の食パン。ここ数カ月で通販を始めるところが増えてきた。

 例えば渋谷区神宮前の「パンとエスプレッソと」。コーヒーとパンが人気を集める行列店だが、4月に入って通販サイトを開設。看板のキューブパン「ムー」もネットから購入可能になった。大阪が本店で、卵、乳不使用の食パンで知られる「嵜本(さきもと)」なども、この原稿を書いている最中に通販をスタートさせた。

 実はパンは、意外にも通販向けの商品だ。焼きたてよりも、焼き上げた次の日が、生地が落ち着いて「もっともおいしい」とうたうベーカリーも多い。翌日着の通販なら、おいしさのプライムタイムに間に合う。ただし、パンとパン屋さんのガイドサイト「パンスタ」の編集長、青木たかこさん(48)はこう話す。

「パンは日ごとに味も風味も落ちるので、届いたらすぐに食べることが基本です。翌日分以外は、すぐに冷凍したほうが最後までおいしくいただけます」

 一度冷凍した食パンの場合は、食べる直前に10分ほど自然半解凍し、半解凍の状態のままトーストするのがいいという。

「外はさっくり、中はもっちりが楽しめます。とくに生クリーム、バター、はちみつなどを使用したリッチ系のお取り寄せパンは、多少日が経っても食感や風味が落ちづらい」

 そこで、超有名店から地方の穴場まで、人気の10店舗の食パンを通販で購入、実食してみた。

 それぞれの特徴は文末で紹介するとして、いくつか思い出に残ったポイントを。まず、全体的に意外に早く届くことに驚いた。時期にもよるだろうが、早い物で注文の翌日、遅くても1週間ほどで味わうことが可能だ。

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