福島第一原発の廃炉に向けた、政府・東京電力の中長期対策会議は昨年末、今後30年から40年をめどに廃炉を実現するロードマップをつくった。この難事業に向けて、今後は国内や海外の技術も広く導入していかなければならない。
 技術開発については、原子炉プラントメーカーの東芝、日立GEニュークリア・エナジー、三菱重工業の3社を窓口に情報を公募し、どの企業にどのような技術があるか、リストアップが進められている。
 ところが、その「3社体制」に疑問の声が上がっているのだ。事情に詳しい研究者が語る。
「国内外から広く技術情報を集めると言いながら、国の予算をメーカー3社がほぼ独占しています。原子炉に詳しい3社が中心になるのは、ある程度仕方ないと思いますが、事故が起きた原子炉のメーカーには、東電同様に事故の責任があるでしょう。原子力ムラの体質が依然として残っているのではないか」
 さらに、3社が関連技術を独占するのでは、という懸念も出ているのだ。
「メーカーは表向き技術情報を共有したいと言っていますが、開発者の権利が十分に守られるのか、非常にあいまいです。結果的に、プラントメーカーだけが得をし、われわれは単なる"外注"先になるおそれもあります」(前出の研究者)

※週刊朝日 2012年4月27日号

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