現地時間2020年5月13日、新型コロナウイルスのパンデミックにより、米LAの野外コンサート会場ハリウッド・ボウルが、2020年シーズンの開催中止を発表した。ハリウッド・ヒルズに位置する象徴的な円形型会場が、シーズンを中止するのは過去98年で初めてで、ここ100年間で2週間以上公演が中止になったことはない。
会場を管理するロサンゼルス・フィルハーモニック・アソシエーションは、新型コロナウイルスの危機に対する解決策の欠如が中止の理由と言及した。「新型コロナウイルス拡大を防ぐ公衆衛生当局者の最新ガイダンスに従い、アーティスト、観客、従業員を感染から守るため、ロサンゼルス・フィルハーモニック・アソシエーションはハリウッド・ボールとフォード・アンフィシアターの2020シーズンを中止します。ロサンゼルス郡にあるこの2会場では、通常6月から9月までLAフィルによって企画されたロサンゼルス・フィルハーモニックを含む幅広い様々なアーティストの公演が行われています」とプレス・リリースで発表した。
中止によりオーケストラは、8000万ドル(約86億円)の資金不足に直面する。損失の緩和策としてLAフィルは、フルタイムの非組合会員の約25%とハリウッド・ボウル・オーケストラを2020年9月末まで一時帰休、季節ごとに雇用される従業員は解雇されると発表した。この決定に先駆け、ロサンゼルス・フィルハーモニック・アソシエーションは不要な支出を軽減、パートタイムの従業員を解雇、全体で35%の減給を実施し、寄付金を募う決断をすでにしている。
「ハリウッド・ボウルとフォード・アンフィシアターは、ライブ会場以上の存在で、ロサンゼルスの夏の風物詩の象徴なのです。2020年シーズンが中止になることは非常に悲しいですが、LAフィルはなくなりません」とハリウッド・ボウルの社長でロサンゼルス・フィルハーモニック・アソシエーションの執行役員であるゲイル・サミュエルは説明した。「我々の文化コミュニティーは世界で最も活気がありクリエイティブです。来夏はハリウッド・ボウルとフォード・アンフィシアターで100年を祝うことを希望し、またそうできるという自信があります」と続けた。
CEOのチャド・スミスと最高経営責任者のデイビット・ボーネットは「夏のプログラムの中止はミュージシャンと従業員にショックをもたらしました。毎年ハリウッド・ボウルとフォード・アンフィシアターでの公演を楽しみにしていた方は落胆したでしょうし、我々も失望しています。この公衆衛生の非常事態において我々の務めは、ロサンゼルスの全市民と同じで、力強さとレジリエンス(回復力・弾力性)ともに前進し、互いに助け合えばこの屈強を乗り越えられると信じることです。LAフィルは100年以上も存在しています。次の100年も存在するために必要なことを我々は実施いたします」と述べた。
LAフィルは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を観察し続け、必要に応じてアソシエーションの状況を見直す予定だ。
LAフィルを財政難から救うため、【Play Your Part】と名付けられた3500万ドル(約38億円)のキャンペーンが実施される。ロサンゼルス・フィルハーモニック・アソシエーションの運営、ヤング・オーケストラ・ロサンゼルスのプログラムや毎年15万人の若者、家族、教師に提供する教育プログラムの補助も含まれる。ハリウッド・ボウルでの公演のチケット保持者は、チケット代金をLAフィルに寄付することも可能だ。