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「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」
発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの疑問に学者が本気で答えます」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第16回の質問は「人見知りが激しくて困っています」です。
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【Q】人見知りが激しいのですが、どうしたらよいですか?
【A】見知らぬ人に慣れるよう工夫すれば、じょじょに改善するよ
小さい頃の私は、公園の遊具で知らない子が遊んでいると、もう近づくことができませんでした。遊んでいる子どもたちを遠くから見ている私の様子を見て、親は「人見知りの激しい子だ」と、ずいぶん心配したようです。
人見知りは、見知らぬ人に対する警戒心から生じます。太古の時代、見知らぬ人を警戒するのには相応の理由がありました。見知らぬ人はなわばりを奪いにきた敵かもしれませんし、感染すると大ごとになる病気をもっているやもしれません。近づかないほうが安全なのです。
そのため私たちは、見知らぬ人に対する警戒心を、多かれ少なかれ備えて生まれてきています。ほかの動物も概してそうです。人なつこい野生動物などはほとんどいませんね。
しかし、現代社会では見知らぬ人とも仲良くするように奨励されます。自分にはない知恵を見知らぬ人がもっていることも大いにあるので、戦うよりも協力したほうが双方の利益になると考えられるからです。
このように社会の事情は変わったのですが、私たちの警戒心は、遺伝情報にプログラムされていて、すぐには消えません。そこで、人見知りの大きい人には、それを減らす努力が必要になっているのです。
私の場合は、中学生のとき玩具店で店番をしたことが転機になりました。店番は大きな声で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と言う必要があります。最初はひどく緊張して小さな声しか出せませんでしたが、日数を重ねるにしたがって、だんだんと大きな声を笑顔で出せるようになりました。