消毒液が品切れになる状態が始まり、野田氏は真っ先に議員連盟を通じて、厚生労働省に供給するよう要請したという。

「うちの息子は一生、医療的ケアを受け続け、消毒液を使わなければならない。医療的ケア児や難病の人たちにとって、消毒液は命綱の一つなんです。マスクは自宅で作ることも可能です。でも、消毒液は自宅では作れないから、そこの優先順位がもう少しわかって欲しかったと思いました」

 野田家にとっては、主治医が来て、メディカルチェックをしてくれることが救いになっているという。

「あまり注目されていないけれど、新型コロナの感染拡大の中で、在宅医療がまだきちっと議論されていない。陽性患者の中で軽症、無症状の方はホテルか自宅待機ですが、そこへ医師が行って、臨機応変にチェックしてもらえる態勢が十分に取られていないことが、抜け落ちている点だと思います。それから、訪問した医師たちが感染しないように、医療用のガウン、『N95マスク』などのウイルスと戦う武器をそろえて欲しいです。それから大至急やって欲しいことは、治療薬として期待されている『アビガン』を使えるようにすること」

 野田氏は現在、ほとんどの仕事をテレワークでこなしている。

「いま仕事は、主に電話やリモートの形をとっています。政府は国民のみなさんに自粛をお願いしているのに、なぜ国会は3密状態を続けていられるのでしょうか。人数が必要な議決以外のことは、国会もオンラインでできます」

 衆院初当選が1993年で安倍晋三首相と同期の野田氏は、「女性初の首相候補」と言われ続けてきた。「次の総理を狙うつもりは?」と聞くと、

「いやいや、それはないわよ、今この時期に。とにかく、私はこまめにみなさんの悩みを聞いて、黙々と問題解決に取り組むだけだから」

 マスコミ各社の「次の総理に誰がふさわしいか」という世論調査では、野田氏は女性議員としてはトップに挙げられる。

「私は最近、テレビにも出ていないし、閣僚でもない。テレワークで静かに仕事をしているだけですが、それでも、覚えてくれている人たちがいるというのはありがたい。励みになります」

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