緊急事態宣言の段階的な解除で、止まっていた経済が少しずつ動き始めた。少しは明るい兆しが見え始めたかと思いきや、コロナ・ショックで甚大な被害を受けた居酒屋は、新たな課題に頭を悩ませている。
千葉県船橋市で居酒屋を営む40代男性は言う。
「今の時期なら3密防止のために窓や入り口を開けて換気しながら営業できますが、夏場は虫が店の中に入る。感染防止策は難しい」
この店では、入り口に網戸を設置することも検討している。しかし、それではクーラーが利きにくくなる。
「食中毒が怖いので、クーラーは強めで使い続けざるをえない。それだと、7~9月で10万円は余計に光熱費がかかるかもしれない」(前出の飲食店経営者)
厚生労働省は、緊急事態宣言後の「新しい生活様式」の実践例を発表した。
食事については、持ち帰りや出前、デリバリーも▽大皿は避けて、料理は個々に▽料理に集中、おしゃべりは控えめに▽対面ではなく横座りで――などと、呼びかけている。
しかし、飲食店の側でそうした様式を採り入れようとすると、難しい部分も出てくるようだ。
前出の居酒屋経営者はこう話す。
「料理を小皿に分けて出せば、フランス料理のコースのようなもので手間も費用もかかる。お客さんに『しゃべらないで』とも言いにくい」
営業自粛が続いた飲食店が、昼間の弁当販売などへの業態に新規参入するには、課題もある。
弁当店を経営する30代女性は言う。
「5、6月は朝は気温が低くても、昼間に一気に上がることがある。そういう日が危ないんです」