漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「捨ててよ、安達さん。」(テレビ東京系 金曜24:52~)をウォッチした。
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東京都の公式動画で、片づけコンサルタント・こんまりこと近藤麻理恵が断捨離指南してくれるステイホームな日々。そんな現状にドンぴしゃりな本作だ。
本人役で登場の安達祐実。「毎号ひとつ私物を捨てる」という雑誌の連載コラムを引き受けたら、夜ごと夢の中に謎の少女(川上凛子)と、人の姿になった「捨てられないモノ」が現れる。
例えば「自分の代表作の完パケDVD(貫地谷しほり)」に「輪ゴム(臼田あさ美)とレジ袋(戸塚純貴)」、「高校時代に使っていたガラケー(加藤諒)」や「知り合いのおばさんが手作りしたファンシー時計(片桐はいり)」などなど。
だいたい「いらないなー」と思いつつも、ついつい捨てられずにいたモノたち。そんな忘れられていた彼らが、安達さんに語りかける。
「青春を共に生きていたと思うんで、お互いが納得する形でお別れしませんか?」と言うガラケー。
「俺だってゴミ袋になる覚悟はできてたんだよ」と訴えるレジ袋。
「たとえゴミでも何も入ってないより、ずっとやりがいがある」と言うけれど、残念あなたは書店のレジ袋。コンビニのヤツみたいに取っ手がついてないし、幅がないからゴミ袋には使いづらいんだよ!
ところで彼ら「捨てられないモノ」たちの主張、この前見たこんまりの断捨離指南動画とめっちゃシンクロしているのだ。そう、「トキメくモノを選ぶ」というこんまりの呪文。
そうしてトキメキを感じずに捨てられていくモノには「感謝しましょう」と彼女は言う。「深く向き合って手放しましょう」と。これってまさにこの番組のテーマじゃない?
さては毎回夢の中に出てくる小さな女の子、アレはこんまりが差し向けた断捨離妖精だな。前髪パッツンなところとか、本体の面影があるし。
と、思いきや、番組終了後にすかさず流れるフリマアプリ「メルカリ」とのコラボCM。ドラマの流れそのままにモノを捨てようか悩む安達さん。すると謎の少女がキッパリ告げる。
「だったら売りなよ、安達さん。メルカリで!」
あれよあれよと安達さんは登録&出品だ。少女はニッコリ「いいんじゃない? こういうお別れも」。お~いっ、こんまりの精かと思いきや、そいつメルカリの回し者ですよ、安達さん!
※週刊朝日 2020年6月5日号