■とくに女性は節目ごとに検査を

 女性の場合はとくに妊娠出産後、年齢が上がるとともに自分の甲状腺組織を攻撃してしまう自己抗体が産生される自己免疫疾患が増える傾向にあり、甲状腺機能低下症が生じるリスクも上がる。

 また、出産後や風邪などのウイルス感染後の2~3カ月後に一過性の甲状腺炎になり、その回復期に一時的に甲状腺機能低下症の症状がみられる人もいるという。数カ月で自然に治るため、多くの場合は治療の必要はないが、症状が強く出て治療が必要になる場合も。

「最初に動悸や発汗、体重減少などの症状が出て、3~4週間もすると今度はむくみや倦怠感、体重増加など甲状腺機能低下症の症状がみられる。何度か繰り返す人もいます」(鈴木医師)

 甲状腺機能の低下は、重度では認知機能の低下、心不全などのリスク因子になる。福成医師は無症状でも定期的な検査を勧める。

「とくに女性で、妊娠出産を考えている20~30代、または閉経前後の50代や60歳ごろなど、節目ごとに人間ドックなどで血液検査による甲状腺検査を受けてほしいですね」(福成医師)

(文・石川美香子)

≪取材協力≫
昭和大学横浜市北部病院 副院長 甲状腺センター長 福成信博医師
伊藤病院 内科 鈴木美穂医師

※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より