20万部を超えた話題のノンフィクション『女帝 小池百合子』を書いた石井妙子さん。「おもしろい……!」と作家の林真理子さんも唸り、知り合いに薦めまくったほど。石井さんが同書で伝えたかったこととは。
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林:『女帝 小池百合子』がすごい話題ですね。私、LINEで50人ぐらいに一斉に「読んでみて」って連絡したんですよ。
石井:ありがとうございます。いろんな方から「林さんに推薦された」という話を聞いて、「えっ」と思ってびっくりしました。
林:都知事選間近のこの時期にこんな本を出すのは彼女に気の毒だ、みたいな声もありますね。
石井:2年前に「文藝春秋」でかなりの枚数をさいて彼女の学歴詐称疑惑について書いたときはほとんど無視されてしまって、世の中もぜんぜん反応してくれなかったんです。それを今回「選挙妨害だ」と言われても、それはちょっと……。出版のタイミング(5月29日発売)も、都知事選ギリギリを狙ったわけじゃなくて、私、締め切りを破りに破って、「これ以上遅れてはダメです」と編集者から言われて。宣伝文句は「緊急出版」となってますけど、ほんとは「ノロノロ出版」なんです(笑)。
林:そうなんですか。この本、みんな有吉佐和子さんの『悪女について』みたいだって言いますけど、私は、過去を隠して親子でさまよう、松本清張さんの『砂の器』みたいだなと思って。
石井:実は取材を進めるうちに、私も『砂の器』が思い出されて……。執筆時は毎朝、『砂の器』の音楽を聴いていました。
林:まあ、ほんと! 『砂の器』だと思ったのは、やっぱり間違ってなかったんですね。私の友達は、「夜中に読んだら眠れなくなった」と言ってました。確かにコワい部分もあるけど、簡潔な美しい文章で、すうーっと入ってきましたよ。読み終わったあとは、しみじみ考えさせられるものがあって。
石井:周りの人からも「コワすぎる」というご意見はいただきました。共産党の小池(晃)さんも、「読み出したら怖くて止まらない」とツイッターで書いておられた(笑)。