昨年、日本棋院の賞金ランキング1位に加え、最多勝を獲得した囲碁棋士・井山裕太(22)。囲碁のグローバル化が進み、日本人が世界戦で優勝することがほとんどなくなった今、昨年5月の国際大会(非公式戦)で優勝を飾った22歳の若きエースだ。師匠である石井邦生九段(70)からも"囲碁の申し子"と評される彼の才能は、「ネット碁」での指導で磨かれたと本人が明かした。

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 簡単に言うと、囲碁は陣地を取り合うゲームなんですが、ルールによる縛りが少なく、自由に打つことができる。そういう「やりたいようにやれる」ところが僕には合っていたみたいです。

 6歳くらいのとき、テレビの囲碁番組に出る機会があって、解説にきていた石井先生と出会いました。あのとき会っていなければ、こうしてプロにはなってなかったんじゃないかと思います。

 石井先生とは、内弟子という関係ではなく、電話回線でつないだ「ネット碁」を打って指導を受けました。週に2回ほど、小学校から帰ってからネット碁をして、終わると電話で「ここはこうだ」とかポイントを教わりました。石井先生は僕に自由に打たせてくれて、いいところを伸ばすような指導法でしたね。

※週刊朝日 2012年3月9日号