「『1人、また1人と辞めていけば、県政界はぐちゃぐちゃになる』。自民党県連幹部は天を仰ぐ」
いやいや、天を仰ぎたいのは、一票を清きものだと信じていた、しかも自民党へ入れてないあたしたちなんですけど。
もと法相であった人とその妻である議員が、選挙の票を買収するという違法行為を犯した疑いが持たれている。法相であった人は、安倍首相が任命した。その妻は、安倍首相を以前コケにした同じ自民党の候補者の対立候補として立てられた。そして、自民党の金、原資は税金であるものが違法に使われた。
7月1日の中国新聞の記事の最後に、「一番辞めなければならないのはあの夫妻だ」という広島市議の吐き捨てた声が載っていた。が、あたしは捕まったあの夫婦はもちろん、あの夫婦を駒にしていたあの夫婦も糾弾されねばおかしいと思う。ドミノはそこまでいくかしら?
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2020年7月24日号