じゃあ、どうすればいいのかって、2つしか答えはなくて、ひとつはチェルノブイリ原発事故みたいに、石棺で固めてしまう。でもそうすると、原発のあった地域は、チェルノブイリの周辺のように人も住めなくなって、何にもなくなってしまう。観光化するのも難しいし、あるものを固めて封じ込めて、それを維持していかなければならない。昔、僕が東京電力を取材したときに、たしかに石棺で固めるという案はあった。でも、もうちょっと、他の方法で頑張ってみようということになったそうなんです。テクノロジーの進化で何かできるかもしれないと。今、それをやっている段階で、基本的には何も変わっていなくて、抑え込むことはできているけど、それはテクノロジーのおかげで根本の解決策を探りながらやっている。

 何も変わっていないということは、水は一番必要なものであって、その使った水が、あと2年でタンクを置く所がなくなるほど満杯なんですよ。別の場所にタンクを置かせてくださいって、誰が置かせてくれます?ってことでしょ。そんな土地、誰も用意してくれないよ。

 反対派の人たちが言っているモルタルで固めるというのがあるけど、タンクを置く土地すら貸してくれないのに、そのモルタルを置くための土地の買収ができるのか?タンクだって金がかかっているのに、それ以上にお金がかかることに、誰が金を出すんだ?って。現実的な方法ではないんですよ。

 もうひとつは、東京電力福島原発爆発事故から約10年たっているんですけど、世界の原発では、その間もトリチウムは流し続けているわけですよ。何か起こりましたか?何も起こってないですよね。

 反対も賛成もどっちでもいいと思うんですけど、僕も原発推進派ではないから。こういうことを言うと、僕のところに文句を言ってきます。「竹山はやっぱり政府寄りだ」「推進派なんだ」「何にもわかっていない」とか必ず言ってきます。そんなこと言っている場合じゃないでしょ!ってことを言いたい。そういうことじゃなくて、目の前で起こっている現実を未来のために解決するのにどうしたらいいのか、まず考えないと。いまイデオロギーはいらない!今、問題解決しないと!

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ネックになるのは福島への風評被害