バーベキュー時の火おこしに着火剤を使う人もいるが、あくまで火をつける際に使うものだと心得よう。途中から火力を強めるために入れてはいけないと、堺さんは指摘する。もちろん、「テント内は密室になっているので火を使ってはいけません」。一酸化炭素中毒につながるおそれがある。

 虫よけ対策も欠かせない。市販のスプレーなどだけでなく、虫に刺された直後の患部の応急用毒吸い取り器や救急セットも備えておきたい。野生の動物もいるため、食べ物などを外に出しっぱなしにすることも避けよう。

 協会が持っておくべき“七つ道具”としているのが、テントと寝袋、マット。食事に必要なテーブル、チェア、バーナー、さらに夜間の明かりとなるランタンだ。

 このほか、食材などを保管するクーラーボックスがあると便利で、調理器具は家庭用のナイフやまな板、鍋などでも代用できる。

 ただ、最近は「キャンプ道具の盗難が増えている」と、前出の佐久間さんは注意を促す。現場から長い時間離れるときは、道具を出しっぱなしにはしないように用心したい。

 キャンプ場には、例えば「午後10時に消灯」といったルールを設けているところもある。訪れたキャンプ場のルールに従って、周囲に迷惑をかけないようにしたい。

 コロナ時代ならではの注意点も確認しておきたい。協会によると、食材や消耗品の購入を自宅周辺で済ませておくことが大事だという。出発前には、検温などをして健康状態もチェック。キャンプ場へ向かう道中はもちろんのこと、現地の管理棟や炊事場、トイレといった施設では「3密状態」を避けよう。キャンプ場の指示に従って感染防止に協力する。消毒用アルコールは、引火のおそれがあるので使う際はくれぐれも注意したい。

 デジタル化が進む世の中。だからこそ“非デジタル”の自然のなかへ、飛び出す人が増えているのかもしれない。佐久間さんは言う。

「キャンプは、緊急時をふまえ、準備しすぎぐらいがちょうどいいでしょう。備えをしっかりとして、太陽のリズムに合わせて、のんびりと過ごし、普段とは違う時間を楽しんでほしい」

(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2020年7月31日号

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