現在は、オヤジの居場所作りを目指す「じゃおクラブ」というクラブで、趣味を楽しんだり、ボランティアなど地域に密着した活動をしたりしている。
昔から憧れていた海外暮らしも昨年実現した。約3カ月間、イタリアのトリノにピアノ留学した。
海外暮らしといっても豪勢なものではない。渡航費はショッピングなどでこつこつためたマイルを使い、滞在中はピアノの先生の紹介で1カ月間はアパートを相場の半値(月約6万円)で借り、残りは先生の弟子の家に住まわせてもらった。今は、年に1カ月程度、仕事をし、「緩く」生きているという。
「やり方次第で年金生活者でも海外に行くことはできるし、夫婦2人で暮らしていけますよ」
次は「75プロジェクト」。57歳で始めた演劇の次の目標として、海外での公演を掲げた。
「目標があるとないとで日々の生活が全然違います。年をとっているからとか、恥ずかしいからとか、自分に制限をかけるのはもったいない。私は趣味20個を目標にやっています」
人との出会いを楽しもうと始めたホームパーティーもその一つ。今はコロナの影響もあり、大人数というわけにはいかない。テレビ会議システムの「Zoom」を使った。
「コロナも悪いことばかりではありません。さまざまな人とつながることができました。今後テレワークが日常化したら、皆さん、仕事以外の楽しみをきっと見つけられると思います」
(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2020年8月7日号
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