春風亭一之輔・落語家
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イラスト/もりいくすお
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 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「第七世代」。

【画像】一之輔氏は第何世代?

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 今、『お笑い第七世代』といわれる芸人たちが人気があるらしい。『お笑い第七世代』を基準とするならば、じゃあ『第一世代』から『第六世代』は一体どのような人たちで構成されているのか? ネットで調べるとサイトによって言ってることがまちまちだ。『第三世代』は大体、とんねるず・ダウンタウン・ウッチャンナンチャンと書いてある。私はその世代直撃だったので覚えている。確かに皆さん『お笑い第三世代』と呼ばれていた。

 それ以外の世代は言ったもん勝ちみたい。『第一』はエノケン・古川緑波と言ってる人もいたり、コント55号だったり、ドリフターズと言ってたりして。『第四』=ボキャブラ芸人と一括りにされていたり。『第五』に至っては「とにかく数が多い世代である」と具体的な名前を一つも挙げていなかったり。もう全てにおいて雑な区分け。『戦国時代、御伽衆として関白秀吉を笑わせていた「曽呂利新左衛門」を「お笑い第一世代」とすることもある』……みたいな単に悪ふざけな説もあったりして、読んでるうちになんかどうでもよくなってきた。

 娘に「パパは第何世代?」と聞かれたので「もちろん第七」とてきとうに応えると「じゃあ、せいやさんみたいにもっとがんばってね」と叱咤された。すぐさま条件反射で「え? 聖闘士(セイント)?」と聞き返しそうになった42歳のおじさん。でもそこはちょっと考えた。アラフォー頭の引き出しの手前に置いてある「せいや」はもちろん「聖闘士星矢」。だが、私だって「霜降り明星」くらい知っている。0.5秒くらい考えれば車田正美じゃないほうの、リモート飲み会でチンチン出しちゃったほうの「せいや」だってのはわかる。

 わかっていても、だ。「聖闘士?」と半笑いで返して、そこから昔の「週刊少年ジャンプ」の思い出を子ども相手に語り続けるようなことを、ついこないだまでしていた私。そんな自分を卒業。なぜなら、ちょっと前に『第七世代』の「EXIT」の「かねち」が「おじさん芸人が若者のわからない昔のマンガやプロレスの話題で一人で盛り上がってんの正直寒いっすねー」みたいなことを言ってたから……。小さい男だとお思いでしょうが、正直若者に嫌われるのが怖い。こっちが楽しい話をしているのに、受け手が嫌がっている状況は最悪だ。第一、車田正美先生に申し訳ない。

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