講談社に対しては、行政書士に住民票取得を依頼するなどプライバシー侵害があったとして、加えて550万円の賠償も求めている。
会見した黒川氏と弁護士によると、「あなたが『21面相』だ」(週刊現代10月15日号)との見出しの記事は、ダイエーなどの勤務経歴や事件で使われた青酸ソーダを容易に入手できる環境があったこと、事件後に親族が不動産を無借金で取得していた点などを根拠に犯人を浜口啓之(仮名)と断定。岩瀬氏らから計3回、取材を受けた黒川氏は、
「記事はその取材内容を基に構成され、浜口が自分を指しているのは明らか。私は事件とは無関係なのに、犯人視された」
と主張した。
黒川氏は連載記事の掲載直後から講談社側に抗議し、出樋一親(だすぜかずちか)同社第一編集局長らに野間省伸(のまよしのぶ)社長宛ての抗議文も手渡すなどしていた。
黒川氏は提訴した理由を会見でこう述べた。
「野間社長からはいまだ、返事も来ない。同社が握りつぶしたのではないかと私自身、思っています。講談社は誠意のある対応をとらなかった」
提訴に対し、週刊現代編集部は、
「個人を特定する記述はなく、提訴の理由、目的が理解できない」
野間社長宛ての黒川氏の手紙に関しては、
「手紙は社長に届いています。社長からは局長の出樋に丁寧に対応するように指示があったと認識しています」(講談社広報室)
という。
グリコ・森永事件の"真犯人"を巡る黒川氏vs.週刊現代のバトルは、これから法廷に場を移す。 (本誌・森下香枝)
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