ジム・ロジャーズ・投資家
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逮捕された周庭さん (c)朝日新聞社
逮捕された周庭さん (c)朝日新聞社

「世界3大投資家」の一人とされるジム・ロジャーズ氏の本誌連載「世界3大投資家 ジム・ロジャーズがズバリ予言 2020年、お金と世界はこう動く」。今回は、中国と香港について。

【写真】逮捕された周庭さん

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 香港警察が、香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏と民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏を香港国家安全維持法違反容疑で逮捕した。12日までに2人は保釈されたが、中国による香港への圧力は強まる一方で、世界から批判が高まっている。

 香港について考えるなら、1949年までさかのぼらなければならない。

 この年、中国共産党政権による中華人民共和国が成立した。共産党政権に反発した人たちは、香港に逃れた。その後、香港は貿易を通じて経済発展を遂げる。工場の生産拠点もつくられ、世界有数の金融センターにもなった。

 しかし、現在はどうか。今の香港は、ビジネスをするには人件費や物価が高すぎる。コストがかかるので、経済的な競争力も失われている。一方で、香港に近い深セン市(中国広東省)の発展はめざましい。「アジアのシリコンバレー」と呼ばれるほど、優秀な企業が集まっている。

 香港の経済状況はますます悪くなり、生産拠点だけではなく、貿易拠点も他の場所に移っている。

 香港での民主化デモのきっかけになったのは、逃亡犯条例の改正案だったとされている。しかし、その裏には、家賃が高く、人々が生活に苦しんでいて、経済が少なからず後退していることも影響している。

 香港に拠点を置くビジネスマンは、今後も香港を離れることはないかもしれない。だが、今後、香港でビジネスをやろうと考える人は少なくなっていくだろう。中国における香港の経済的な価値は、以前に比べて大きく低下した。中国にとって香港は必要ではなくなったのだ。

 89年の天安門事件も同じだった。表向きは民主化が目的だったが、当時の中国が抱えていた経済的な問題と、それに対する人々の不安が与えた影響が大きかった。

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