もっともな意見だが、今もまだ「どんな指導だろうが、強気にプレーできない選手が悪い」と考える指導者は少なくない。
18年に岩手の県立高校で男子バレーボール部の新谷翼さん(当時17)が、顧問の男性教諭(当時41)のパワハラを苦に自殺した。今年7月22日に盛岡市内で調査報告書を発表した第三者委員会によると、U18日本代表候補だった翼さんに、「バカ、アホ、頭悪い」「おまえのせいで負けた」「一番下手」「使えない」と発言。もともと強豪大学への進学に不安を抱いていた翼さんに絶望感を与え、バレーへの意欲を奪ったとして、顧問の言動が自殺の一因だったと結論づけた。
19年には、茨城・高萩市立中学校3年の女子生徒(当時15)が自殺。市教委は、卓球部顧問の「殺すぞ」「殴るぞ」といった暴言が一因になった可能性があると説明している。これら二つの自死事案は、ともに身体的暴力ではなく、言葉の暴力で子どもたちを追いつめている。(ライター・島沢優子)
※AERA 2020年8月24日号より抜粋