三つの事例を紹介しましたが、現実はもっと複雑でわかりづらいものです。そこで最後に、親はどんな心積もりがあれば、子どもの異変やSOSに気づけるかを紹介します。学校で苦しんだ子どもたちや親の相談を受けてきた「フリースクールネモ」代表の前北海さんは、こう語っています。

「うちの子は不登校にならない、いじめは受けないなどと親が先入観を持っていたら子どものSOSは見えません。子どもには子どもの世界があり、大人から見えないところで本人は苦しんでいたり、トラブルを抱えていたりもします。親にとって『不都合な事実もある』という前提で子どもを見なければいけません。ただ、そこまで親が覚悟をしていれば、追いつめられる前に子どもは親を頼れるので、本当に意味で心配な状況にはなりづらいとも思っています」

(文/石井志昂)

<プロフィール>
石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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