
「令和おじさん」が仕掛けた政局が風雲急を告げている。自民党総裁選に出馬した菅義偉官房長官(71)は、二階俊博幹事長(81)ほか党内5派閥の支援を受けて次期首相の座に王手をかけた。実は、このシナリオは3年半前から準備されていたものだ。菅氏のギラついた野心が次に狙うものは。
2017年冬、東京都内のホテルで、菅義偉官房長官は一人の男が来るのを待っていた。
菅氏は安倍政権の実質ナンバー2として日々分刻みのスケジュールをこなしている。約束の時間に遅れて菅氏を待たせるとは尋常ならざることだが、当の菅氏は上機嫌だった。周囲と政界人物評などの話に花を咲かせながら、“主役”の登場を待っていた。
遅れること約40分。目当ての人はようやく姿を現した。二階俊博・自民党幹事長だ。
2人はこの日、週刊朝日の企画で対談をすることになっていた。両者の対談はこの時が初。『内閣官房長官』(MdN新書)の著者で、対談の司会を務めた作家の大下英治氏はこう話す。
「菅さんと二階さんは最近になって接近したように報道されていますが、違います。3年半前のあの対談で2人は意気投合し、そこから定期的に会うようになって、関係を深めていったのです」
現在、菅氏は安倍首相の後継者を選ぶ自民党総裁選(9月14日投開票)において党内5派閥の支持を固め、独走状態に入っている。その菅氏を真っ先にかついだのが、二階氏だ。「天下取り」に向けた2人の蜜月関係は、すでに3年半前から始まっていたのである。
対談で2人はお互いを褒めたたえ、ポスト安倍について聞かれると、そろって「安倍総理の後は安倍総理」と答えた。だが実際は、菅氏は“ギラついた野心”を隠していた。大下氏は言う。
「政治家ですから、菅さんが総理になる道を考えていたのはある意味、当たり前のこと。ただ、安倍首相が『辞める』と言う日まで、菅さんは一切、衣の下の鎧を見せなかった。それでも、安倍さんは菅さんの怖さを感じていたはずです」