ある結婚情報サービスの会社の調査で、今の20代女性で「結婚に憧れる」と答えたのは2割しかいないというデータもありました。でも、同じ調査で「結婚したい」が8割を超えたそうです。どういうことかというと、結婚というのはみんなに与えられた当然の権利なのだから、とりあえず行使しておかないと損だという感覚なんです。つまり結婚は、使わないと損するカードポイントなんですね。だから「結婚をすませたい」という言い方をする子が多いんですよ。

 いっぽう草食系男子はというと、積極的にプロポーズするタイプではありませんけど、一番の親孝行は孫の顔を見せることだと考える優しい男子ですから、家族を持つことに異論はない。ポイントカード感覚の女性にリードされて、結婚に至るというパターンです。

 長引く不景気や不安定な雇用環境も「ただトモ夫婦」増殖の背景にあると思いますよ。草食系男子が選ぶパートナーの典型は、仕事をバリバリこなせる女性です。仕事一辺倒の人生はイヤだし、正社員といえども将来は不安、実際に男性の平均年収は落ちるいっぽう。だけど、ある程度快適な暮らしはしたい。そのためには妻にも家計を支えてもらわないといけないと考えるのです。男女雇用機会均等法が浸透して女性が働くことが当たり前という感覚の世代でもありますからね。

 親や近所とのつきあい方にも、ただトモ夫婦ならではの特徴があります。

 まず、ただトモ夫婦世代には、結婚前に親と同居するパラサイトシングルだった男女が圧倒的に多く、結婚後もどちらかの親の家から30分未満に近接居住しているケースが6割超。また、彼らはよく「“ワル目立ち”したくない」という言い方をするのですが、空気を読めずに周囲から弾かれることを極端に嫌う。共働きは余計に親に子育てを頼る必要がありますし、ママ友とうまくつきあって、習い事やお受験の情報を融通しあうんですね。国や会社に頼れない自己責任社会だと身にしみているから、血縁、地縁のありがたみがあらためて浮上するんだと思います。

 さて、そんなただトモ夫婦の夜の営みはいかなるものでしょうか。

 おわかりですよね。それは割り切ったものです。共働きだから平日はお互いに疲れていて難しい。だから子どもが欲しいとなると、妻が携帯サイトで排卵日を管理して、そのために行為に及ぶということにもなるのです。今、育児休暇を取得する女性は9割近くいますが、育休を円滑に取得するために上司に子づくりの許可を求めたり、先輩社員と育休の取得時期を事前に調整したりする女性も少なからずいます。

 驚いたのは、4年ほど前に客室乗務員と結婚した男性の話でした。結婚後すぐに精子を保存させられて、奥様が地上勤務になった最近になって、その精子で受精したそうです。少しでも若いときの精子のほうが優秀だからということらしいのですが、そこまでやるかと思いましたね。

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