「草食男子」ってご存じですよね。昨年の新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれましたが、草食系男子の研究者を自任する私なりに定義すれば、
「20代から団塊ジュニアの30代後半までの、恋愛や消費に欲がない、あるいは恋愛や消費にガツガツしたところを他人に見せたくない、人を傷つけたり傷つけられたりすることが苦手な心優しい男子」
のこと。
男女平等の感覚が強すぎて、デートで割り勘は当たり前、男らしさを追求するという姿勢はみじんもなく、なぜ男がスカートをはいちゃいけないのか、なぜレディースデーがあってメンズデーがないのか、大まじめに疑問に感じたりする男子です。
その子たちが結婚したらどうなるのかなと興味を持ち、1年半くらい前から20代、30代の夫婦の取材を始めたのですが、ビックリしました。夫婦でもなければ親友でもない。「ただの友達」と呼ぶのがぴったりするほど関係の浅いカップルがいかに多かったことか。それで「ただトモ夫婦」です。
別寝室は珍しくありません。居間で自分が占有するテリトリーを決めている夫婦や、旦那が転勤したわけでもないのに別居婚や週末婚を続けている夫婦もいました。その理由がふるっていて、実家が居心地がいいからとか、旦那が趣味のガンプラ(注)やミリタリーグッズを捨てられず妻の荷物の置き場所がないとか。夫婦別ポケットで、お互いの給料や貯金がいくらか知らない夫婦の割合も高い。会話は「ツイッターでする」という夫婦もいるほどです。
仲が悪いわけじゃないんですね。ただ、結婚後も自分のパーソナルな時間や空間を非常に大切にしていて、甘えたいときに甘えればいいと考える猫みたいなカップルなんです。夫婦というより、自由にソロ活動もできるユニットのような関係ですよね。だから離婚するときもあっさり。「解散」という一言で別れたカップルも、100人取材して2人(組)いました。
彼らの言葉を借りると、「お互いに期待しすぎない関係がいい」そうです。なぜかというと、依存すると去られたときのダメージが大きいからだと。自己防衛なんですね。
だったら結婚しなければいいじゃないかという指摘はもっともだと思います。