ジーンズのボタンやバックルなどの衣類から、ネックレスの留め金やピアスなどの装飾品まで、生活の中にはさまざまな金属製品がある。そんな金属に触れると、かぶれやかゆみなどの症状を引き起こすのが金属アレルギーだ。皮膚科のなかにアレルギー専門外来を開設している専門医に、金属アレルギーについて取材した。
【写真】教えてくれたのは日本医科大学病院皮膚科/准教授/アレルギー専門外来の藤本和久医師
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アレルギー疾患とは、からだに接触した場合や、体内に入ってきた物質に対して、免疫細胞が反応し、炎症などさまざまな形で症状を起こす病気だ。その中の一つに金属アレルギーがある。金属アレルギーは、接触アレルギーと全身型のアレルギーがあり、多くの場合が、金属が接触した部分の皮膚に、赤いぶつぶつやかゆみなどの症状が表れる接触アレルギーだ。
日本医科大学病院皮膚科でアレルギー専門外来をおこなっている准教授の藤本和久医師は、金属による接触アレルギーのメカニズムをこう説明する。
「人のからだには、異物が侵入した際にその異物を排除しようとする働きがあります。金属は、それ自体はからだに無害なものが多いのですが、汗や唾液などの体液によってイオン化して皮膚や粘膜の中まで入り、体内のタンパク質と結合します。アレルギーはタンパク質に対して反応するため、金属に触れた部分が過剰な免疫反応を起こしてアレルギーを発症します」
日本では、原因となる金属は、ニッケル、コバルト、クロム、金などが多い。
ニッケルはネックレスの留め金、ジーンズのボタン、バックル、ピアス、イヤリングなどに含まれている。塗料やセメントにも含まれているため、仕事で発症するケースもある。
コバルトも同様に装身具に含まれている。クロムは革製品、そして塗料やセメント、金は貴金属の装飾品、歯の詰め物などに含まれる。
「最近では、新たなレアメタルの需要が増えていますので、チタン、パラジウム、イリジウムといった金属に対するアレルギーも増えているのが現状です。今後も時代とともに、金属の需要の広がりにより、金属アレルギーは変化していくと思います」