9月1日に最終回を迎え、8日には特別編も放送されたラブコメディードラマ「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)。平均視聴率は15%超と好評だった。大森南朋(48)演じる家政夫のナギサさんが、控えめすぎるほどの謙虚さと素朴な人柄で安心感を与えてくれるとして、“おじキュン”なる言葉も広まった。
中年男性の家政“夫”という意外性のある設定も、ヒットの要因の一つだろう。ドラマ制作にあたり、家政士検定の教材を提供した公益社団法人日本看護家政紹介事業協会の担当者は、ドラマの影響をこう語る。
「ホームページのアクセスは通常の10倍で、8月の問い合わせは昨年比で4倍と、ドラマ効果を実感しています。家政婦(夫)の男女比は約9割が女性と圧倒的ですが、最近は検定の受験生に男性の姿が見られるようになってきています。ナギサさんは誇張されておらず、リアリティーがありました。今後、男性がより増えてくれることを期待したいです」
家政夫への理解が広がりつつある一方、“おじキュン”現象についてはインターネット上で「待った」をかける声が多く見られる。
<世のおじさんすべてにキュンとするわけじゃない><大森南朋だから許されることを理解すべき>
「流行や話題に流されて勘違いしてしまう男性はどの時代もいます」と指摘するのは婚活アドバイザーの植草美幸さんだ。
「加藤茶さんがものすごく若い女性と結婚された時にも、同じように20~30歳も年下とお付き合いしたいという男性が増えました。ですが、加藤さんの社会的地位や経済力、豊富な経験によって培われた包容力が若い女性を引き付けているということに注意しなくてはなりません」
ナギサさんについても、同じようなパターンの現象だというのだ。
「多くの女性が働くようになった今、同世代では物足りず、年上男性を求める女性が増えているのは事実です。それでもナギサさんのような、年上の家政夫にキュンとするというのはドラマの中での話。現実に年上男性に求められるのは経済力と包容力です」
男性の方が高給を手にしやすい日本の現状を考えると、女性より年収が低くて許されるのは年下男性だとも指摘する。「未婚男性が増え、40歳を超えても未熟な人が多く見受けられます。多くの女性は、おじさんに対して『手間がかかる』『清潔感がない』とのイメージを持っています。フィクションを真に受けるのは大違い。若い女性にもてたいと考えるのなら、自分には何があるのかと自問自答して、自身の“市場価値”を把握すべきです」
おじさんたち、「若い女性にもてる」と安易に思い込んでは、痛い目を見ますぞ。(本誌・秦正理)
※週刊朝日オンライン限定記事