ところがね、次の瞬間時間が巻き戻りました。「時を戻そう」。ぺこぱか!(出てないけど)。悪夢のような結末はまさに悪夢だった。分岐点が新たな道を開いていく。
正直、警察車両で走行中の2人が、屋形船の中にいる久住をたまたま発見とかそんなんある~?と思うけど、コロコロ綺麗(きれい)に転がっていく展開に運ばれて、「つっこむ」という分岐点が消えたね。
久住が逮捕される世界線。世界はコロナの脅威にさらされ、オリンピックはもちろん延期。
「神様は俺より残酷やで。指先一つ一瞬で人も街もぜ~んぶさらってまう」。そんな久住に志摩は言う。「生きて、俺たちとここで苦しめ」
一つひとつのことがいつか大きく未来を変える。無線を受けた警察車両が動き出す。
「ゼロ地点から向かいます」。そう2020年、世界は0に巻き戻った。上空から映された国立競技場の形は数字の0。うまい、うますぎる。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2020年9月25日号