9月25日(金)全国ロードショー 配給:キノフィルムズ
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故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)。ある日、育児放棄にあっていた少女・一果(服部樹咲)を預かることに。当初は反発しあう二人だが、あることをきっかけに、結び付きを強めていく……。
「演技派のアイドル」の第一人者といえば草なぎ剛さん。頼まれた役を「やりたくない」と、断ったことがないとか。「すべては縁」と語る人生の理想形とは──。
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SMAP時代から演技の評価が高い草なぎ剛さんが、新作映画で挑戦した役は、トランスジェンダー(生まれたときの性別と異なる性を生きる人)の凪沙(なぎさ)。髪をなびかせながらヒールで歩く様子は、まさに「女性」だ。体は男性、内面は女性という自分を変えられない凪沙を演じるにあたって、さぞ準備をしたかと思ったが、意外にも「自然体で向かった」そう。
「内田(英治)監督と、トランスジェンダーの方に会いに行ったりしました。もちろんデリケートな部分があるし、演じるのは難しい。でも、凪沙だけが特別ってわけじゃない。もちろん心は女性なのに男に生まれてっていう悩みがあるけど、僕にも皆さんにも自分の中に受け入れたくない、嫌な部分はある。難しく考えず、自然に感じたままに演じました」
凪沙が一時的に預かることになる親戚の女子中学生・一果(服部樹咲)との「母子」のような関係を構築する過程も作品の見どころ。
「樹咲ちゃんは演技初挑戦。うまい具合に役にのまれていました。緊張がいい具合に作用していくというか」
難しい役でも、その人になりきるのが、草なぎさんの真骨頂。役との相性はどう判断するのだろう。
「僕、仕事を選ぶとか、こういう役はやりませんって断ったことがないんです。もしかしたら、マネジャーさんが断っているのかもしれないけど(笑)。頂く役は神様がくださっているって思うんです。そうとしか思えないくらい、演じてきた役はいつもタイミングよくやってきた。どんなに難しい役でも、できないとか思い込むのはつまらない。すべては縁ですから」
「新しい地図」として再スタートしてから、3年になる。
「濃い時間でした。いろんなものが蓄えられたし、生まれた。いい形で皆さんに応援してもらえて、僕らは本当に幸せ。だから、この春、コロナの影響でファンミーティングや舞台が中止になったのがすごく残念です。早くライブがやりたいですね」
くさなぎ つよし/1974年、埼玉県生まれ。91年、SMAPのメンバーとしてCDデビュー。以降、歌手、映画、ドラマ、バラエティー番組など多方面で活躍。2017年にオフィシャルファンサイト「新しい地図」を立ち上げる。パラリンピックサポートセンターのスペシャルサポーター。出演作は映画「黄泉がえり」「日本沈没」「あなたへ」「クソ野郎と美しき世界」「まく子」「台風家族」、テレビドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」「任侠ヘルパー」「スペシャリスト」など多数。
(本誌・工藤早春)
※週刊朝日 2020年10月2日号