10歳でゴルフを始め、2008年にプロ入りした木戸愛(きど・めぐみ)。平均飛距離250ヤードの日本一華麗な「飛ばし屋」の2012年は有言実行の一年だった。
過去、木戸は様々なインタビューで「目標」を聞かれると、こう答えていた。「まずは、初優勝することしかありません」。
プロ5年目、それを現実にした。昨年7月の「サマンサタバサレディース」で、通算14アンダーでツアー初勝利を果たした。初日から首位を守り抜き、最後は全美貞、不動裕理らを抑え込む強い勝ち方だった。
「最終日は『必ず並ばれる』と想定してました。だから、実際に9番でダブルボギーをたたいて不動さんに追いつかれたときも、必要以上に焦らず済んだのだと思います」。フォーム改造で得意のショットが安定してきたことに加え、メンタルも鍛えられたことが優勝を引き寄せた。
身長172センチという恵まれた体形は、プロレスラーだった父・修さん譲りだという。ゴルフを始めるきっかけをつくってくれた修さんの言葉は、今も心に響くという。
「『勝ったのを忘れるのも大事。思い出すのも大事。その使い分けを自分で考えなさい』という言葉はすごく印象に残っています。考えれば考えるほど深い言葉だなって」
成功体験に拘泥せずに、来季は2勝目を獲りにいく。
※週刊朝日 2013年1月18日号