

『わかりやすさの罪』の武田砂鉄と、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平による初の対談。書かれたものや撮られたものを隅々まで見渡して批評する武田と、「ヤバイやつらのヤバイ飯」を現地へ行って取材する上出の共通点とは。
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※第1回「200円で客を取り、150円で食事…悲惨か幸福かを決めるのは?抗う物書き・武田砂鉄と異端のテレビマン・上出遼平特別対談」よりつづく
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武田:人の本棚を見るのが好きなんですが、上出さんのツイッターにアップされていた動画を見ていて、引き出しの上に本が積み重なっていたのを見逃しませんでした。
上出:恥ずかしいな。何がありましたかね。
武田:藤原新也『西蔵放浪』、そして、宮本常一『忘れられた日本人』が目に入りました。そこで思ったんです、「あっ、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』って、宮本常一スタイルだ」って。あの番組が評される時に、「タブーに挑戦!」や「危ないヤツらに会ってきた!」なんて形容されることが多いはずですが、「訪ねて行って、目の前に来た人にじっくりと話を聞いてみた」という、このシンプルで愚直な姿勢が醍醐味なんだなと。宮本常一の『忘れられた日本人』がまさにそうじゃないですか。根付く暮らしぶりを書き留める、と。
上出:そうです。それがたまたまハイパーな場所だったという。テレビ的なエンターテインメントの入り口を用意しただけの。
武田:ハイパーでハードで「すげえ!」と言われているけれど、上出さんの本を読んで、ハイパーとハードを引っこ抜いた時に残る丁寧な視線が醍醐味なんじゃないかという気がしました。
上出:うれしい。そういうふうに言っていただくことって少ないので。
武田:相手の話をちゃんと聞く、ずっと、これをされていますよね。もちろん、「こうしたら、おもしろくなるんじゃないか」と考えるとは思いますが、答えてほしいことを答えさせているわけではない。聞いて、答えてもらう、このシンプルな関係性を遵守している。
上出:基本はそうですね。
武田:「お茶の間」が業界化している昨今、ロケでは「撮れ高」が必要、ということをなぜかみんな知っていますね。別に周知する必要のないその言葉を周知させたのは「モヤさま」だとは思いますけど……。
上出:ははははは。