「大企業勤務で退職金が数千万円に及ぶ場合、それだけで退職所得控除分を使い切ってしまい、iDeCo分に控除が適用されない=まるまる所得税・住民税を払うことになるケースもありえます。
ただ、課税されるのは退職所得控除額を超えた分の2分の1ですし、退職金とiDeCoを受け取る年をうまく変えることで所得税率が下がり、支払う税額が減る可能性があります」
一方、年金として受け取る場合は公的年金等控除が受けられる。2020年分からは、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1000万円以下の場合、公的年金等の収入金額が65歳未満の人は年間60万円以下、65歳以上の人は年間110万円以下なら税金を払う必要がない。
「昭和36(1961)年4月2日以降に生まれた男性の厚生年金の受給開始年齢は65歳なので、iDeCoの受取額が300万円以下の場合は、60~65歳の5年間で60万円ずつ受け取れば税金を払う必要がありません。でも65歳になって厚生年金を年間110万円以上もらえる場合、iDeCoの年金受け取りがあると、全額が雑所得として他の所得とともに課税の対象になるので注意。ただ、基礎控除や配偶者控除などの所得控除を差し引けますし、現役時代の給与に比べれば安くなるでしょうから、適用税率は低いはず」
一時金での受け取りと違って、年金での受け取りの場合は、退職所得控除のような2分の1課税ではなく、公的年金等控除を超えた受取額すべてから所得控除を差し引いた金額に課税されてしまう。さらに国民健康保険料や介護保険料といった社会保険料も徴収される。この保険料の存在が大きいこともあり、一時金で受け取ったほうがトクになるケースが多い。
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