加藤勝信官房長官(C)朝日新聞社
加藤勝信官房長官(C)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 菅政権の屋台骨を支える加藤勝信官房長官。就任早々窮地に立たされている。警視庁が詐欺容疑で摘発したジャパンライフ事件では「広告塔」疑惑が出ている。しかし、これだけではない。加藤氏の政治資金収支報告書を見ると、疑惑の献金が続々と出てきた。

【写真】加藤官房長官と家族ぐるみで仲のいい安倍洋子ママ

 加藤氏が代表の政党支部は「自由民主党岡山県第5選挙区支部」と、衆院比例区から出馬していた時の「自由民主党岡山県衆議院比例区第1支部」の二つだ。

 2015年から18年の報告書には、Aという企業が毎年のように政治献金を行っていることがわかる。同社は作業着や安全靴など、工事現場用品の製造、販売で知られる。

 A系列の山形支店は19年9月に公正取引委員会から独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を受けた後、公取委から独禁法違反と認定され、今年6月から山形県では指名停止12カ月となった。談合と認定された期間もAは毎月献金を続けており、献金の総額は400万円以上にのぼる。

 さらに05年12月、沖縄県警は加藤氏に献金した金融会社の代表を出資法違反容疑で逮捕。外国為替の取引で、月2%の利益が得られる元本保証と偽りカネを集めたという容疑で被害総額は20億円に上る。加藤氏は04~06年の間、この企業と代表者名で献金とパーティー券あわせて660万円を提供されていた。その後、代表は有罪判決を受け、同社には金融庁から業務停止の行政処分が出た。

 まだある。06年6月、加藤氏の地元・岡山で町をゆるがす事件があった。旧船穂町(合併後、倉敷市)の当時の町長が下水道工事入札の算出方法を業者に教え、逮捕された。その業者は加藤氏の後援者として知られる地元建設社長。2人はその後、罰金刑となっている。同社は岡山県から6カ月の指名停止処分とされた。

 同社からは、確認できただけで、04年から18年まで会社名、個人名をあわせて100万円以上の献金がなされていた。

 さらには加藤氏の地元支援者が「こんな人からも、献金を受けていたのか」と顔をしかめた人物が、報告書に2人いた。

次のページ
「脇甘すぎ」と後援者