セロトニンの分泌や体内時計リセットでは、朝ウォークに軍配が上がるようだ。では、ダイエットではどうか。体内時計の専門家である早稲田大学准教授の田原優さんに聞いてみた。

「以前は脂肪燃焼では夕方が有利とされていましたが、最近は朝のほうがダイエット効果が高いとされています」(田原さん)

 朝食と夕食後、それぞれランニングマシンで走ってもらい、その時の血液中の指標をみたところ、夕方のほうが脂肪燃焼効果が出たという研究がある。アスリートのベストレコードが夕方に多いことも、夕方のダイエット効果を後押しした。だがここ数年で、長期に及ぶ研究が発表された。

「午前と午後に運動した人の10カ月後を比較した米国の研究では、午前に運動した人のほうが体重や腹囲の減少が大きいという結果が出ました。長期のダイエットでは朝ウォークが有利といえます」

 田原さんは体内時計のリセットという観点からも、朝ウォークをすすめる。

「朝の運動は体内時計をリセットしてくれますが、夜の運動は体内時計を遅らせてしまいます。とくに20時以降の激しい運動は、避けたほうがいいですね。ちなみに、昼の運動は体内時計にはあまり影響を及ぼしません」

 体内時計が乱れると、規則正しい生活ができず、風邪をひきやすくなったり、生活習慣病のリスクが上がったりするという。ただし、軽い運動なら夜ウォークの効果も期待できる。

「20時以降の激しい運動はよくないと言いましたが、寝る2時間ほど前の軽いウォーキングには寝つきをよくする効果が期待できます。リラックス効果が増し、副交感神経が優位になり、運動後の深部体温低下をもたらし、眠りやすくなります」

 朝は体を目覚めさせるしっかりめ、夜はリラックスするための軽めのウォーキングがおすすめだという。ただし、起きてすぐの朝ごはん前は体が十分に目覚めていない。ある程度体がほぐれるまで無理をしないこと。水分不足にならないように、十分な水分補給をしてから始めよう。(ライター・井上有紀子)

AERA 2020年10月12日号より抜粋

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