

コロナ禍により休館していた劇場を使用し、演劇を無観客で上演、ライブ映像配信で観客に届けるプロジェクト「TOHO MUSICAL LAB.」。新作オリジナルミュージカルに出演した生田絵梨花、海宝直人が「こんな時だからこそ」の演劇について語り合った。
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「TOHO MUSICAL LAB.」のオリジナルミュージカル「Happily Ever After」(根本宗子脚本・演出、7月)に出演した二人。通常1年以上かけて制作するオリジナルミュージカルを準備期間1カ月弱、稽古2週間で作り上げ、3日間の配信で2万4千回以上の再生回数を記録した。
海宝:無観客配信って、不思議な緊張感だったよね。
生田:そうですね、お客さんがいないという緊張感で。とにかく制作期間が短かったから、今までで一番準備して稽古に臨んだかもしれません。公演も1回きりだから、初日で千秋楽という状態ですし。
海宝:いやぁ、本当に時間がなくて必死だったよね。でもスタッフさんも最小限だから、リラックス感もあったかも。コロナ禍で僕らのいる世界も大きな変化があったよね。
生田:今、少しずつ日常に戻ってはいるけど、最初のうちは、それまでまとまった休みがなかったこともあって、寝てばっかり(笑)。このままだと復帰できないと思って、目標を作りました。自粛明けにはグループで配信番組が決まっていたから、バイオリンとギターに挑戦すると決めて。吸収する時間の大切さを実感しました。
海宝:僕もバンドメンバーとリモートセッションしてYouTubeにアップしたり、いろんな挑戦ができて新たな発見があった。
生田:やっぱり私たちは誰かが明るい気持ちになれる瞬間を作ったり、エネルギーになるようなことができたらなと思います。
海宝:無観客配信も然(しか)り、賛否あると思うけど、それも含めてのラボ(実験室)だし、配信で新たな可能性も感じた。この状況もポジティブに捉えて、楽しさを伝えていけたらいいね。
海宝直人/1988年生まれ。子役時代からミュージカルを中心に活躍。ロックバンド「シアノタイプ」のボーカルとしても活動。
生田絵梨花/1997年生まれ。人気アイドルグループ「乃木坂46」の中心メンバー。ミュージカルをはじめ女優としても活躍。
(取材・文/本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2020年10月23日号