環境問題を語るときに必ず登場する「地球温暖化」という言葉。でも実はここ15年ほどは平均気温は上昇していないと、生物学者の池田清彦・早大教授は指摘する。

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 ここ15年間、世界の平均気温は全く上昇していないのは事実なのである。英国気象庁とCRU(クライメートゲート事件の発端となった研究所)は去年、3千地点を超える気温観測データに基づいて、ここ15年間の世界の平均気温の推移を公表したが、温暖化傾向は1997年に終了している。またNOAA(米海洋大気庁)の気象衛星から測定した対流圏(地表から10~20キロメートルの大気圏)の平均気温もここ10年間以上ほぼ横ばいである。地球の気温変動に最も関係があるのは太陽の活動で、20世紀から21世紀はじめにかけて、気温変動と太陽活動はほぼパラレルに推移している。20世紀後半はたまたま太陽活動の上昇とCO2濃度の上昇が重なったので、一部の気候学者はCO2の増加が気温上昇の原因であると誤認したのだ。それが証拠に、21世紀に入って太陽活動が低下するに及び、気温上昇はピタリと止まったのである。もちろんCO2濃度はどんどん上昇しているけどね。

 そういうわけで、去年の11月から12月にかけて、カタールで開かれていたCOP18(国連気候変動枠組み条約18回締約国会議)が盛り上がらなかったのは当然なのだ。COPはもはや国連官僚とEUの面子のためだけの組織となった。途上国は温暖化をネタに先進国から資金援助を引き出そうとゴネるだろうが、温暖化論自体が砂上の楼閣なのだから、聞くフリだけしていればいい。そんなしたたかな官僚が日本にいるかどうかは知らないけどね。

週刊朝日 2013年2月1日号