親から遺産などを相続する際に発生する「相続税」。実はこれを、最大8割減させる方法があることをご存じだろうか。
2011年分の国税庁のデータによれば、全相続財産のうち不動産(土地、家屋等)は約52%を占める。この不動産の評価額を大きく下げることが、多くの人にとって節税の王道になる。
そのための命綱が「小規模宅地等の特例」だ。亡くなった人などが使っていた居住用や事業用の土地について、条件に合えば一定の広さまで、評価額を最大8割も引き下げられる制度だ。
同居の親族が実家を相続する際、土地の評価額が8割減額となる特例を受けるには、「亡くなった人と生計を一にする同居をしていた」という要件を満たさなければならない。そのため2世帯住宅は相続税対策で注目されるのだ。
しかも今回の改正では、自宅に関して、「小規模宅地」の上限が240平方メートル(約73坪)から330平方メートル(約100坪)に広がる。
都内で330平方メートルの自宅(評価額1億5千万円)を持っていた父が、(1)相続税対策をしなかった場合と、(2)対策として息子家族と暮らしていた場合で、自宅を相続した一人息子にかかる税額を計算してみた。
父の資産が、自宅のほかに現金・預貯金などが計5千万円だとすると、(1)では相続税額は4860万円になるが、特例を使った(2)では680万円となり、4千万円以上も少なくてすむ。「8割減」の効果の大きさが実感できるだろう。
※週刊朝日 2013年2月8日号