山下拓医師(左)と明石昌也医師
山下拓医師(左)と明石昌也医師
口腔がんのデータ(週刊朝日2020年11月6日号より)※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」
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舌の周囲と構造(週刊朝日2020年11月6日号より)※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」
舌の周囲と構造(週刊朝日2020年11月6日号より)※がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」

 脳の下から鎖骨の上までの範囲(脊髄と眼を除く)にできる「頭頸部がん」には、舌や歯ぐきなど、口の中にできるがんも含まれる。口腔がんもその一つ。女優・タレントの堀ちえみさんが患ったことでも知られる病気だ。口腔がんの早期発見につながる症状や治療法について、頭頸部外科と歯科口腔外科の専門医に聞いた。

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「口腔がん」は、口の中にできるがんの総称であり、頭頸部がんの約2割を占める。口腔がんには、舌がん、歯肉がん、口腔底(下の歯ぐきと舌に囲まれた部分)がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんなどの種類があり、最も多いのは舌がんだ。

 口腔がんは、飲酒や喫煙のほか、合わない銀歯や義歯が擦れることによる慢性的な刺激なども原因となる。口腔がんを疑う症状について、神戸大学病院歯科口腔外科教授の明石昌也歯科医師は「口腔がんも早期発見・治療が重要で、がん化の可能性がある病変を知っていただきたい」と話す。

 それは、「白板症」や「扁平苔癬」などの「口腔潜在性悪性疾患」といわれるもの。いわゆる「口腔がんの前触れ」となる症状だ。白板症とは、口の中の粘膜部分にできる、白く角化した(厚く硬い)病変。扁平苔癬とは、頬の粘膜にみられることが多い赤いただれや白いレース状の病変で、ヒリヒリした痛みを伴うことも多い。これらのすべてががん化するわけではないが、がん化のリスクがあるため専門医による経過観察や検査が必要となる。

「上記の症状のある患者さんすべてががん化するわけではないので、過剰に心配する必要はありません。専門医による定期的なフォローアップや必要に応じた早期検査が重要です。口内炎がなかなか治らず受診する患者さんもいますが、2~3週間経過しても全く治らない場合は要注意です」(明石歯科医師)

 口腔がんの治療は、手術が中心となる。北里大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授の山下拓医師はこう話す。

「一般的に、治療法はがんの進行度や患者さんの年齢、併存症の有無や希望なども考慮して検討しますが、口腔がんにおいては、根治治療として放射線や化学療法よりも手術の成績が優れていることがわかっており、がんの進行度に関わらず手術が勧められます。放射線や化学療法は、術後の補助療法としておこなわれることがあります」

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