「リモートワークでのコミュニケーションは絶対量が減るだけでなく会議時間以外の余白がなくなり、新しい気づきや雑談が減ることが課題で、それを補う必要があると考えました」

 ワークスペース上には、話題やテーマごとにつくられた「バブル」が表示される。バブルは会議室のようなイメージで、ここに入ることで同じバブル内の人と会話できる。

 社会心理学やコミュニケーション論について詳しい明治大学法学部の堀田秀吾教授は現在の日本を「在宅勤務石器時代」と表現する。本格的に社会に根付いていくのはこれからだという。

「在宅勤務やビデオ通話は社会全体に広まりはじめたばかりで、うまくいかないのは当たり前。コミュニケーションを横に広げたり、非言語情報を伝えたりするための技術もこれから次々に開発されてくるはず。使う側も徐々に最適な方法を見つけていくでしょう。『在宅勤務は難しい』と感じた人は多いでしょうが、諦めるのは時期尚早。私は楽観しています」

(編集部・川口穣、渡辺豪)

AERA 2020年11月9日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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