大阪市を廃止して四つの特別区に再編する「大阪都構想」が11月1日、住民投票で再び否決され、大阪維新の会と同様に立て直しが急務となった国政政党・日本維新の会。馬場伸幸幹事長は次の戦略をこう語る。
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「大坂都構想のスピリッツを全国に広げたい。統治機構を変えるという旗印は降ろさない。登山ルートを変えて、これからも頂上を目指す」
スピリッツの根源とは何か。
「維新の会のオーナーは橋下徹さん(元大阪府知事)、オーナー代行は松井一郎さん(大阪市長、大阪維新の会と日本維新の会の代表)です。維新は橋下さんが作った政党だから、橋下さんの結党のスピリッツを生かしていく、ということです」
では、そのスピリッツをどのように全国に当てはめるのか。
「例えば、東京23区の人口は現在、千代田区が約6万人に対し、世田谷区は90万人台。同じ特別区といっても15倍の人口差があるし、東京都との距離感や財源の配分など、ぼちぼち変えていかなあかん時が来ていると思います」
具体的には、1年以内に実施される次期衆院選で、東京の25選挙区全てに候補者を立てることを目指す。すでに10人以上の候補者が固まった。前回の2017年衆院選では、希望の党との選挙協力で東京での出馬を見送ったため、東京には衆院議員がいない。
「立候補予定の東京のメンバーにお願いしているのは、大阪都構想があかんかったからと言って、全てがあかんわけではないということです。『大阪都構想』というのは大阪だけが目的ではなかった。地方自治体の改革をするための手段なんです」
一方、維新の松井代表と関係が良好な菅義偉首相も、本心では都構想に賛成だったのではないかと見られている。馬場幹事長が10月29日、衆院代表質問で「都構想」の意義について質問すると、
「二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとする大都市制度の大きな改革であると認識しています」
と菅首相は答弁した。
「つまり、賛成ということですね」(馬場幹事長)
馬場幹事長によると、都構想の根拠となった法律は、12年に議員立法で成立した「大都市法」(大都市地域特別区設置法)。
「当時、最終的に取りまとめた自民党の責任者は菅さんだった。菅さんは『都構想』の根拠になった法律の生みの親なんですよ」